短期前払費用の特例 |
1.概要
例えば、1年分の家賃を一括して支払った場合、その(支払い)事業年度の損金に算入できる(経費になる)のは、その事業年度末までの期間に対応する家賃のみであり、翌事業年度以降の期間に対応する部分の金額は「前払費用」となり、支払事業年度では損金算入(経費処理)できず、翌期において損金算入されます(経費になります)。
これが原則的な取り扱いですが、これに対する例外として短期前払費用の特例があります。短期前払費用の特例とは、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用のうち一定のものについては、支払い事業年度においてすべて損金算入(経費処理)が認められるというものです。 |
2.具体例
株式会社墨田商店は、毎期所得が100万円ぐらいでしたが、当期はたまたま事業年度末に大きな取引があり、所得が1,000万円ぐらいになる予定です。でも、その期末の売上金は6ヶ月の手形でもらったため、実際に現金化されるのも6ヶ月後で、当期分の法人税や消費税の納税資金がありません。そこで、何とか当期だけでも税額を減らせないか、考えていました。
そこで、この短期前払費用の特例を使うことにしました。株式会社墨田商店は、店舗及びその敷地を、代表者である社長さんから借りており、毎月家賃を30万円支払っています。当期も、12ヶ月分360万円が地代家賃として計上されています。
当期末において、契約内容を変更して、家賃の支払い条件を、翌1年分360万円を、その事業年度開始の日の前日までに一括して支払うことにしました。そして、実際に当期末までに、社長さんに360万円を支払いました。この翌期分の家賃は、支払日から1年以内に役務の提供を受ける費用なので、支払事業年度においてすべて損金算入(経費処理)が認められました。つまり、当期においては、月払いの家賃360万円と、年払い家賃360万円の合計720万円が地代家賃とし計上されることになります。その結果、当期の所得が、1,000万円から640万円に減りました。そのため、なんとか、法人税や消費税などを滞納せずに済みました。めでたしめでたし。
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3.ポイント
この短期前払費用に該当するかどうかは、幾つかのポイントがあるので注意しなくてはならないと思います。
・ 一定の契約に従って等質等量の役務の提供を受けること
→上記の場合年払い契約への変更(契約書)が必要です。
また、時の経過とともに費用化されるかもポイントです。
地代家賃・支払利息・年払保険料などは、OKだと思います。
税理士の顧問料の1年分の前払いなどは、ダメ?
・ 1年以内に役務の提供を受けること
→1年を超える費用の場合、全額がダメ
18ヶ月分の保険料を期末に支払った場合、1年を超える部分(6ヶ月分)
だけでなく、18ヶ月分全てが、経費にならない。
・ 毎期継続適用
→上記の場合一度年払契約に変更したら、その後はずっと年払いでないとダメ
・ 役務の提供であること
→物の購入はダメ。 |
4.まとめ
短期前払費用の特例は、課税の繰り延べです。また、その後は、継続適用が条件なので、上記の年払家賃計上などのように通常は1回限りの節税です。なので、ここぞという時に、行うといいと思います。 |
(2006・08・30作成)
墨田区の税理士栗城慎一のホームページ |