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課税の繰り延べと税率格差
課税の繰り延べとは、費用を前倒しで計上し、税金の支払いを翌期以降に遅らせる(繰り延べる)ことです。
例えば、当期(第T期)の期首に1,000万円のトラックを購入した場合に、耐用年数5年、残存価額ゼロ、特別償却が取得価額の30%認められると仮定した場合の減価償却額は次のようになります。
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第T期 |
第U期 |
第V期 |
第W期 |
第X期 |
合計 |
| 1 |
普通償却 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
1,000 |
| 2 |
普通償却 |
200 |
125 |
125 |
125 |
125 |
700 |
| 特別償却 |
300 |
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|
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300 |
| 合計 |
500 |
125 |
125 |
125 |
125 |
1,000 |
上記のように、特別償却を行った場合には、第T期において普通償却額200万円のほかに、特別償却額300万円、合計で500万円の減価償却費を計上できます。しかし、特別償却を行った場合も、行わなかった場合も、第T期から第X期まで、合計で計上できる減価償却費の額は、どちらも1,000万円でトータルでは、同じです。つまり、特別償却を行った場合、それを行わなかった場合に比べ、第T期において、減価償却費300万円を前倒しで計上できることになります。(その後は、特別償却を行わなかった場合に比べ、償却費が年間75万円づづ減ります。)
つまり、特別償却を行った場合、第T期においては減価償却費を300万円多く計上できるため、行わなかった場合に比べ第T期の税金は減りますが、第T期から第X期までトータルでみると納める税金の額は、基本的に同じになります。しかし、費用を前倒しで計上できるということは、それだけ早く投下資本を回収できることになりますし、特別償却を行わなかった場合に比べ減少した税額分だけ資金が会社に留保され、それを利用しさらに利益の獲得も可能になると思います。また、納税資金を借り入れにより調達するような場合に比べ、その利息相当分は得します。
節税の多くは、この課税の繰り延べです。社長さんのなかには、納税額がトータルで同じのであれば、わざわざ、課税の繰り延べによる節税をする意味がないと思われる方もいると思います。しかし、課税の繰り延べには、上記のようなメリットがありますし、また、所得による適用税率の差異を利用し、納付税額そのものが減少することもあります。以下、具体的に見ていきます。
・法人税等の税率
| 所得 |
法人税 |
事業税 |
都民税 |
|
| 400万円以下 |
22% |
5% |
3.806% |
=22%×17.3% |
| 800万円以下 |
7% |
| 800万円超 |
30% |
9.6% |
5.19% |
=30%×17.3% |
* 資本金1億円超の法人の法人税率は、一律30%
* 3都道府県以上に事務所を有する法人の事業税は、一律9.6%
* 都民税は、法人税額掛ける17.3%(東京都:法人税額が年1,000万円以上の法人は、20.7%)
・課税の繰り延べによる納付税額の減少
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第T期 |
第U期 |
合計 |
| 1 |
所得:1,200万円 |
所得:400万円 |
所得:1,600万円 |
| 税金:296万円 |
税金:88万円 |
税金:384万円 |
| 2 |
所得:800万円 |
所得:800万円 |
所得:1,600万円 |
| 税金:176万円 |
税金:176万円 |
税金:352万円 |
上記1の場合も、2の場合も、第T期と第U期の所得の合計は、1,600万円で同じです。1の場合、第T期と第U期の納める法人税の合計は384万円です。しかし、2のように、課税の繰り延べにより、第T期の所得400万円を第U期に繰り延べた場合、納める法人税の額は、合計で352万円になります。つまり、課税の繰り延べを行わなかった場合に比べ、法人税だけで32万円も減少します。第T期の所得800万円超の部分400万円に対する税率の差異8%(30%−22%)により、400万円×8%=32万円法人税が減少しました。もちろん、事業税や都民税も減少します。
以上のように、所得金額は同じでも、所得による適用税率の差異を利用すれば、納付税額そのものを減らすことが可能となる場合もありますので、上記の税率の適用区分を頭に入れ、有効な課税の繰り延べも考えてみてください。
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