役員報酬の分散(所得税等の負担軽減) |
1 概要
会社の税金を減らすのは簡単です。所得を500万円減らすには、経費を500万円増やせばいいだけです。で、最も手っ取り早いのが、社長の給与(役員報酬)を増やす事ではないでしょうか?でも、社長の給与を増やせば、源泉所得税や住民税も増えます。しかも、所得税等は累進税率で課税されるため、会社の法人税等の実効税率(30%〜40%ぐらい)よりも、高い税率(限度50%=所得税37%+住民税13%)が適用されてしまうかもしれません。
また、平成18年の税制改正において、特殊支配同族会社の役員給与の一部(給与所得控除額相当分)損金不算入規定や、従来損金不算入であった役員賞与のうち一定のものについては事前届出を条件に損金算入を認める規定が制定されるなど、役員報酬については、いろいろと注意しなければならないと思います。また、役員報酬の増額についても、定時総会による増額等に限られるなど、制限が増えました。
では、どうすれば、所得税の負担を軽減できるのでしょうか?所得税は、累進税率で課税されるため、所得を分散し適用される税率を下げれば、当然所得税の負担も減ります。 |
2 具体例
台東商店の社長さんの給与は月150万円です。台東商店は、いわゆるオーナー会社で、役員は社長さんと奥さん、それに大学生になる息子だけです。現在の社長さんの所得税は、次の通りです。
| 所得税の計算 |
| 収入 |
18,000,000 |
| 給与所得控除 |
△2,600,000 |
| 所得 |
15,400,000 |
| 配偶者控除 |
△380,000 |
| 特定扶養親族 |
△630,000 |
| 基礎控除 |
△380,000 |
| 課税所得 |
14,010,000 |
| (税額計算 |
×30%
△123万円) |
| 所得税 |
2,973,000 |
| (住民税 |
1,547,700) |
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・奥さんと息子さんは現在のところ実際に勤務していない(名義だけの役員のため)報酬は出ていません。
・そのため、奥さんは配偶者控除(38万円)息子さんは特定扶養親族控除(63万円)の対象になっています。
・計算を簡単にするため、社会保険料・生命保険料等はないものと仮定しています。
・この場合、社長さんの所得税は2,973,000円、住民税は1,547,700円、合計で4,520,700円です。奥さん、息子さんは、所得税・住民税ともにゼロです。 |
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では、役員報酬の分散によりどれだけ所得税・住民税が減少するか見てみます。所得税等が一番少なくなるのは、社長さんの報酬を1,800万円から600万円に減らし、その分を奥さんに600万円、息子さんに600万円に分散した場合です。
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| 所得税の計算 |
| 収入 |
6,000,000 |
| 給与所得控除 |
△1,740,000 |
| 所得 |
4,260,000 |
| 配偶者控除 |
0 |
| 特定扶養親族 |
0 |
| 基礎控除 |
△380,000 |
| 課税所得 |
3,880,000 |
| (税額計算 |
×20%△33万円) |
| 所得税 |
446,000 |
| (住民税 |
293,000) |
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・社長さん・奥さん・息子さんともに、収入は600万円、控除は、基礎控除(38万円)のみです。
・この場合、1人当りの所得税は446,000円、住民税は293,000円、合計で739,000円です。
・社長さんの世帯(家族)合計では、739,000円×3人=2,217,000円です。
・社長さん一人で1,800万円の場合と、それぞれ三人が600万円の収入の場合、どちらも世帯の収入は1,800万円で同じにもかかわらず、税金は、約450万円と約220万円と倍以上違ってきます。 |
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3 実際の運用
でも、実際はそんなにうまくは行きません。役員報酬を分散すれば税金が少なくなることは、税務署だって分かっています。そうならないよう色々な制限があります。たとえば、奥さん等の業務の内容に照らし、報酬の額が高すぎれば、過大役員報酬として、その過大な部分は否認されます(損金になりません)。役員でなく従業員でも、特殊関係使用人給与の過大分として否認されます。
では、いくらまでだったら、奥さんや、息子さんに報酬を支払っても大丈夫・否認されないかが問題になりますいが、それは業務の内容・会社の業績等により、一概にいくらまでなら大丈夫かは分かりません。
例えば、奥さんが経理関係の仕事(現金・小切手の管理、証憑の整理・起票など)、息子さんがホームページの作成・更新、管理などを行っている場合、月25万円ぐらいなら大丈夫かな〜(?)とか、勝手に思います。
仮に大丈夫だとして、社長さん報酬が1,200万円、奥さんと息子さんがそれぞれ300万円の場合の税金について見てみます。
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| 社長さんの所得税の計算 |
| 収入 |
12,000,000 |
| 給与所得控除 |
△2,300,000 |
| 所得 |
9,700,000 |
| 配偶者控除 |
0 |
| 特定扶養親族 |
0 |
| 基礎控除 |
△380,000 |
| 課税所得 |
9,320,000 |
| (税額計算 |
×30%△123万円) |
| 所得税 |
1,566,000 |
| (住民税 |
908,100) |
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| 奥さんと息子さんの所得税の計算 |
| 収入 |
3,000,000 |
| 給与所得控除 |
△1,080,000 |
| 所得 |
1,920,000 |
| 配偶者控除 |
0 |
| 特定扶養親族 |
0 |
| 基礎控除 |
△380,000 |
| 課税所得 |
1,540,000 |
| (税額計算 |
×10%) |
| 所得税 |
154,000 |
| (住民税 |
77,000) |
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この場合、世帯全体の税金は、所得税1,874,000円(1,566,000+154,000×2人)、住民税1,062,100円(908,100+77,000×2人)、合計で2,936,100円になります。
つまり、社長さん1人で1,800万円貰うより、約160万円も税金が少なくなります。
役員報酬が高額な社長さんの場合、一度この所得の分散につて検討してみてはいかがでしょうか?
(2006・09・30作成)
墨田区の税理士栗城慎一のホームページ
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